形への愛

命をこめればアートになる

日曜の夜、なにげなくTVをつけたら、目が釘付けになってしまいました。
TBSの『情熱大陸』で、出演者のダンサーに目が離せなくなったのです。
途中からだったので、最初男だと思って見ていたら、女の子だったんですね。
失礼。

前回のブログは、形の力がテーマでした。
日本の伝統的な作法や立ち居振る舞い、仕草や身振りには美しさがありますが、
それが美しいのは、その形に「チ}が宿っているからだという話をしました。
そのいい例があったら映像で紹介したいと思って、茶道の茶筅の手捌き
などの動画を探そうかと思ったのですが、労を惜しんでやめたのです。

情熱大陸のダンサーは、菅原千春さんでした。もう世界的に活躍していて、
その世界では有名だったということで、改めて失礼。
目が釘付けになったのは、そのフォルムに力があったからです。
全身のフォルムばかりか、手先やつま先の細部まで。

「キレッキレ」だとか、アクロバティックというなら、このレベルはいくらでも
いるでしょう。
でも、彼女のダンスが目を引いたのは、それがアートだったからです。
彼女自身もまた、自分はアートをやりたいんだと語っていました。

たんに美しいだけではなく、そこに命が込められている、魂が宿っている
――それをアートと定義しましょう。
魂が宿る――、それは自分の魂が込められているだけではなく、その魂に
目に見えない宇宙の力が呼び込まれ、注ぎ込まれているような気がします。

これを神秘主義的にいえば、アートマン(魂)にブラフマン(宇宙)が感応
するということです。
つまり、ヨーガの原義ですね。
個(小宇宙)の躍動のなかに、普遍的な宇宙(大宇宙)のオーラを見る。
だからこそ、目が釘付けになるのです。

指に命を注いだら指一本だけでダンスになる

ダンスについて、彼女はこういっていました。
「指に命を注いだら、指一本だけでダンスになる。(ひとつの動作に)どれだけ
命を注ぐかでダンスになる」
この「命の注がれた」ダンスを、アートと彼女はいうのでしょう。

この回の『情熱大陸』は、ネットで見られます。
(ただし、7月5日(日)の22時45分まで。蛇足ですが、次回は高田純次。
高田純次はファンなので、ぜひ見たい)

彼女のダンスは、YouTubeにも沢山アップされていて、みなかなりの再生
回数になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0CXKClVW7lo
この動画のコメントにこんなのがありました。
dancing with heart is better than just a technical dancer
(拙訳)「心のこもったダンスって、たんなる技巧的なダンサーよりずっといいよね」

『情熱大陸』では、新作創作中のスタジオにカメラが入っていて、新しい曲をどう
解釈したらいいか、その振り付けに苦しむ姿が映しだされていました。
サビで「デザイアー」というシャウトが繰り返されるのですが、その叫びをどう
解釈していいのか、そこに悩んでいたのです。
そちなみに、その曲がカッコよかったので、全曲聴きたいと思って探したら、
Years&Yearsの『Desire』という曲でした(もう一千万回以上再生されてるんですね)
https://www.youtube.com/watch?v=6nJCF01b510

空手道のカタにこもる力

形の力といえば、同じパフォーマンスでも、まさに「カタ」の名そのもので、
演武のカタがあります。
以下に紹介するのは、宇佐美里香さんの空手道の「カタ」です。

この演武もまた感動モノです。日本女性、すごい。
この映像の紹介文にはこうあります。

映像は去年(2012年)の11月にフランスのパリで行われた、
第21回世界空手道選手権大会、女子個人「形の部」決勝の模様で、
見事優勝を果たした宇佐美里香さんの形が収められています

このコメントにこんな言葉がありました。
Indeed, performing a kata is not like performing a breakdance move.
It’s a form of meditation(後略)
(拙訳)「ホントにね、カタの演武って、ブレイクダンスの動きを演じるようなもんじゃ
ないんだよね。それは瞑想のカタチなんだよ」
このコメントをした人が菅原小春さんのダンスを見たらなんていうでしょうね。

ブルースの基本形は「おれの話を聞け」

『情熱大陸』が終わってから、『ヨルタモリ』にチャンネルを換えると、
糸井重里がゲストで、ちょうどブルースの話をやっていて、ブルースのカタ
というのは、結局みんな「俺の話を聞け」なんだと語っていました。
なるほどね。
「俺の話を聞け」というのは、いうまでもなくクレイジー・ケン・バンドを踏まえて
いるわけです。

そこで、急に宮沢りえがブルースをやろうということで、ギタリストが
ブルースコードを鳴らし、タモリもコンガを打ちます。
バーのママ、いつもモダンな和服のりえさんは、それに合わせてこんな歌を
うたいはじめます。歌詞は正確ではないですが、だいたいこんな感じ――。

♪男はみな着物姿の女がいいっていうけど、
パッチはいて、襦袢着て、帯しめて、どんだけ時間がかかるっていうの
それを簡単に男は解くの
解いてよ
解いて解いて解いて解いて
着物だけじゃなくて、あたしの心も
解いて解いて解いて解いて、
それができるのはあんただけ~♫

歌はへたでしたけど、もしこの詞がシナリオにはないアドリブだったとしたら、
これはすごい。アートではないとしても、これはこれで芸ですね。

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